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ごあいさつ

 「所かわれば品かわる」を標榜する、いわゆる文化相対主義が唱えられるようになってすでに久しいものがあります。藝術についても、民族あるいは文化の違いに応じて、美の規準や表現が異なることが、美術・音楽・芸能などの諸分野で立証されてきました。一方、社会全般の分業化や学問の細分化にともなう欠陥を反省する機運を反映して、藝術においても既成のジャンルをこえた活動が創作・享受・研究のそれぞれに見られるようになりました。このような時代思潮を背景にして、民族藝術学が提唱され、民族藝術学会が1984年4月に設立されました。現在、会員数は約1200名を数えます。

 民族藝術とは、要するに生活に密着した藝術のことで、その特色は発生や展開が人びとの生活と深く結びついていることにあります。したがって民族藝術は「藝術のための藝術」ではなく、「生活のための藝術」です。しかし民族藝術はいわゆる「民芸」とは異なります。なぜなら「民芸」は地域的特性の濃い手工芸を指し、きわめて限定された意味で用いられているからです。したがって美術・工芸・音楽・舞踊・演劇・建築・文学等々、あらゆる藝術ジャンルを含む民族藝術という名称は新しいタームということになります。私たちは民族藝術の訳語としてethno-artsを用いていますが、このことの背景には、同じ根をもつartが、生活のための技術(小文字で複数のarts)と、自己表現としての藝術(大文字で単数のART)に分裂した現状にたいする反省があります。

 このホームページは会員のみならず、民族藝術に関心をもつ多くの方々に、本学会がなにをめざし、またどのような新しい活動を行っているかを、広くお伝えする場となるはずです。民族藝術学会としては、このホームページが多くの方々に利用されて、民族藝術学の研究がいっそう深められることを念願している次第です。

14 JUN 2002


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2010年8月25日更新

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